自分の後頭部を自分で編む女

30歳も過ぎれば、人間何か新しく技能を得ること、ゼロから何かを成し遂げられるようになることなんて、もうないと思っていた。

ちなみに私の人生で、天地がひっくり返るぐらいの衝撃で『やった!私できた!!』ってな達成感を得られた出来事といえば、小1のとき自転車に乗れるようになったことが、最初で最後な気がする。

それぐらい、チャリに乗れるようになるまでは努力したし様々な恐怖を体験して、またそれを克服した初めての瞬間、夏の日の夕方、家の前で母親が見守るなか猛スピードで駆け抜けた(スピードを出さないと転けてしまう)あの道、あの空気の湿り気をいまだに私は覚えている。

ちょっと待ってよ自転車以外に何か他にあるでしょと言われても、その後の人生で悲しいことに私があれほど何かをゼロから頑張ったと胸を張れることは無いのだった。

妊娠出産、あれは娘が頑張って出て来てくれただけのことだし。あいあむガッチャーイルこの腐敗した、みたいな - 陰毛に枝毛を見つけた日に

ところが、一昨年のことであるが、私はずっと昔から憧れていたけど出来なかった髪型、あの三つ編み込みヘアーを、自分で、自分の後頭部に、鏡も見ずに施せるようになったのである。もう何十年も叶えられずにいた夢。何度も雑誌やwebページ、YouTubeのへアセット動画などを見た。

髪の束がA、B、Cと初めに三つあり、サイドのDを真ん中のBに足して更に反対側のEをなんたらかんたらチンプンカンプン、文章やわかりやすく毛束の色を変えた図解も何度も見た。何年も。しかし、出来なかった三つ編み込み。

が、しかし、ある時ふいに、なんの前触れもなくその日は来たのだった。

いや、きっかけはあった。そのきっかけとは、裏編み込みと表編み込みの違いを知ったことなのだ。たったそれだけのことで。

自分がやりたいと思っていた編み込みは、裏編みであり、今まで図解通りにやったつもりになっていたのは、表編みだったのだ。つまり、初めに知識として「編み込みは二種類裏と表がある」これを知っていたならば、私はもっと早くに問題を解決出来ていたのである。

巷にあふれる編み込み指南書は、その辺の言葉の定義をもっと明確にしてほしかった。

後々気づいた事実として私は、表編みはもうすでに昔から出来ていたのだが、それが自分の描く編み込み像、つまり裏編みと違うので、おかしいおかしい出来ない、と悩んでいたのだった。表も裏も、Aの毛束のうんぬんという理論上は同じやりかたなので、ややこしいのである。

世の中、こんなふうに、何事も出来る人からみたら「え?そこ?そんなとこから説明しとけば良かったの?」みたいなことが省かれていて、それが原因でややこしくなっていることが他にもあるのかもしれないと思った。

何はともあれ、私はそれから鏡を見ずに後頭部に複雑な編み込みを自分で施すようになる。何度も本や動画で見た知識と、裏編み込みという概念が結び付いたのだ。

しかし、その後ヘソ下まで伸ばした髪を50センチほど切ってしまい、今となっては編み込みする毛がないのであった。

そんなわけで、私の人生34年間で頑張って結果出したこと、それは自転車と編み込みヘアーのれんしゅうです。以上二点のみ、他には何もござんせん。  
※今回の日記は、太字を使うこと、リンクを埋め込むことを練習してみました。