親しくしてくれている相互フォローのAさん(東京在住)がこの連休関西に来てて西成の酒場で知らんおっさんたちと酒飲んでるというツイートをしていたので、私も仲間に入れて!って図々しくもDMしたら快くOKいただいたので、娘を塾に送迎(文字通り「送」と「迎」両方やった。毎週欠かさずやってる)し終えてから動物園前方面に向かった。
途中JR福知山線に乗りながら、ちなみに移動してくれて全然構わないので、現在の最寄駅はどこかとDMすると「いまは新今宮」とのことだったので、地下鉄に乗り換えようとしていたルートを変更し、大阪駅で環状線内回り1番乗り場大和路線に乗る。
新今宮に到着しAさんに連絡したら、南海改札で待っていてくれたという。難波から乗るようなややこしい書き方をしたことを侘びつつ、南海方面西出口に私も向かう。

Aさんとは会うのは3度目なので、お顔は覚えていたのだが、なぜかここで彼の姿を見逃してしまいどうやら目の前を素通りしていたことに気づいて、なんやかんやでやっと会えた。
私はまず、突然お声掛けして時間をいただいたことにごめんなさいとありがとうを伝えた。Aさんはとんでもないです嬉しかった、と言ってくれた。
そのあと、西成区方面か浪速区方面どっちに歩きますかということになり、にぎやかな通天閣の方に行きましょうと私が提案した。これはべつに動物園前の方に行くと治安が悪いとかそんなことを今更気にして言い出したことではなく、そもそも西成の治安がどうのこうのそんなことを気にするような人間は夜にわざわざ宝塚からミナミへ向かわないのであり、ただ私は、気軽に入れる飲み屋の数が多い方を提案したまでであった。
スパワールドの方まで歩きながら、早速共通の知人のBさんの話になった。

そういえばBさん、お子さん産まれたそうなんです、とAさんは言った。
5月にAさんと梅田で会った時もBさんの話をしたし、よく考えたら初めて東京で会った時もBさんの話が出た。必ず出る。というのもAさんとBさんはものすごく仲が良いのだ。そして私もBさんとは何度も二人で散策したり飲みに行ったことがあるので、それは当然Bさんの話にならないほうが不自然なのであった。
しかし私はBさんにお子さんが産まれたことは知らなかった。というか、一応知っていたが、それは昨年1月末に会った時Bさんが「来年には子供ができていると思います」と言ってたから。それを聞いて「ああっ、そうなのですね?!」という私の少々大袈裟な反応を見たBさんは「いや、まだなんですけど、来年にはそうなっているということです」というような、少し生々しいやりとりをした。大阪のステンドグラスが有名な喫茶店での会話だった。

Aさんとは他にも近況などぼちぼち話しながら、適当な店に入った。串カツが食べたいというAさんに、関西人のくせに特に良い店も知らない私は「この辺りはどの店もきっと美味しいはずです」と言って押し切ったのだが、下調べすればよかった。お店ではラストオーダー時間が近かったこともあり、生中一杯ずつと牛カツ、だしまき、その他の串2種ぐらいしか頼まなかったけれど、いろんな話をして楽しかった。毎度のことであるが、Twitterの愚痴みたいなものから始まり、政治的な話題にも枝分かれしつつ、ふたたびBさんの話に戻り、Aさんが最近撮影した写真なども見せてもらったりした。
お会計を終えて店を出ると、あまりにもベタなザ・大阪という景色が広がっていたので、その場にいた外国人たちと共に私も写真を撮った。

そしてまた、ぼちぼちと新今宮に向かった。
Aさんは、最近見た廃墟で亡くなったとされる「孤独な天才」の話をする際に、またもBさんの話を持ち出した。確かにBさんは紛れもない天才でありエリートで、私も本人には何度か「リアル出木杉くんですよね」と言ったことがある。Aさんは、本日何度めかのBさんへの賞賛と、ちょっと照れ隠しの悪口も交えつつ、とにかくBさんが大好きであるというのが伝わる口ぶりで彼のことを私に話した。まあ共通の友人だということが前提にあるのだが、それにしてもAさんとBさんはなかよしなのである。ガマ君とカエル君である。AさんはBさんの自宅にも何度もお呼ばれしているということ(これは私も双方から聞いている)で、Bさんの奥さんのこともよく知っていた。Aさんが私に「ぱるさんもBさんのおうちに行くことあるかもしれませんね」などと言ったので、それはないだろうな、と思った。
そのあと駅に向かう途中、というかほとんど新今宮の駅に着いたと同時に黙っていようかと思っていたことをポロっと話した。Aさんは綺麗な顔で「なるほど」と笑った。Aさんにこのことを話したところで、彼の中の何かが揺らいだり、壊れたりすることなどないとわかっていた。だから話した。Aさんはこういう話が嫌いだというのを知っていたから、話さないでおこうかと思ったけど、最後にきいた廃墟の話で、なんとなく言いたくなってしまった。
ふと、Aさんが「待って、あれすごいです」と言うから、目線の先を見ると、60代ぐらいのハゲちらかしたジジイと若い…?多分若い女性、いや、若くないのか?女性なのか?そんな2人が新今宮駅構内でものすごいディープキスをしていた。私は思わず「うおっ!?」と言って、ニッコニコになってしまった。凄い迫力で、少なくとも私達が居る間は2人の唇は離れることはなかった。もうなにもかもが愉快だった。Aさんに、また会ってくれますか、と問うと、もちろんです、と返してくれた。







