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小学校受験の話をしたかった


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昨晩は、妹とずっとLINEをしていた。約一時間、ほぼ途切れることなくメッセージやら写真を送り合っていた。もうそこまでやりとりが長くなると、いっそ通話すれば良かったのに、かたくなに文字で通したのは何の意地なのか。

 

話題は、阪神間の私立と国立小学受験……、という真面目なところから始まったのだが、そこからお互いの通っていた公立中学の話になった。そして、コアラのマーチに似た先生が居たという件で、異様に盛り上がってしまったのだった。

 

私は文字を打ち間違えたわけではない。

コアラじゃなくて、本当にコアラのマーチにそっくりな先生がいたのだ。あのお菓子の。というのも、ご本人がまず自分でそう仰っていたのだ。そして、マジで現存する人類の中では最もコアラのマーチに近いヒト科のヒトだと断言できた。鼻がでかいとか、そういうコアラ的な特徴はいっさいなくて、でも、コアラのマーチ的な空気感はかなりのものだった。

 

けど、そんな人がいたことはすっかり忘れていた。中学の記憶は、楽しくないことが殆どを占めていたから。

 

だから消し去られていたのだ、私の中では一切合切。でも、急に脳みその隙間に挟まっていたコアラのマーチがぽんとさっき転がり出てきたのである。妹が、卒アルからわざわざコアラのマーチ先生の写真を写メしてくるたびに、一人で涙がでるぐらい笑っていた。

 

ここまで書いて、私は身バレを恐れている。というのも、あれほどコアラのマーチに似た先生がいる中学校は、全国を探しても我が母校だけのはずである。そうなると、過去の記事と照らし合わせてあれ、こいつもしかして?……とかならないか。コアラのマーチには興味があっても、誰も私には興味がないだろうから。

あれ。長々書いた後、いま我に返ったが、これは他人が聞いたら、それのどこがおもろいねん案件だ。自分でも何故泣くほど笑っていたのか皆目不明である。でも、楽しくない私の中学時代の思い出は、少しだけ愉快なものになった。

 

 

この恋のこと


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先日一緒に旅行したママ友は

「芦屋って山ばっかりやん。だけど私、神戸育ちやし、※夏のあいだはずっと海を見ていたいから、海辺の別荘を借りることにしてん。いや買わへんよ、そんなお金あらへんわ」などとサラリと言う、開業医の奥様だけど
※芦屋にも海はあるし神戸も山はありますがあくまでも彼女の観測範囲
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底が見えるほど透き通った海をみて「うわ、深い!こわい!キンタマがひゅんってなる」と叫ぶような人で。

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神社では「すごいデカいのがある!」とか言いながら、何とかして祠の中に祀られた男根を模した御神体をカメラに納めようとするような人で。

 
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こういう路地があると、わざと遠回りして道に迷ってしまうような、そんな私の変な性格と気持ち悪さをよく理解してくれる人で。

一緒にいると、楽しくて仕方ない。


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たんたんたぬきのキン……


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貸切の温泉でカメラを向ける私に、あっさり「別にえーよ」と裸体を撮らせてくれた。色んな話をしてくれた。

 

けれど私は、彼女に自分の全部は晒せなかった。おっぱいもあそこも、そして心の中も、汚い部分はひたすら隠した。

本当は、本当に、彼女が好きで、もちろん信頼もしているから、何もかも話してしまいたい衝動にかられた。でも、言わなかった。

 

信じていないからじゃない。

相手を信頼しているからって、自分の全部を晒すのは、エゴだと私は思うから。

 

結局信頼とは甘えだ。どんな告白をしても、相手が受け止めてくれるというのは、信頼しているというより、相手にそうであってほしいと甘えているのである。

自分はスッキリ告白して、相手に秘密をおしつけて、これからも変わらず私を好きでいてね、と言うのはとても勝手な理屈だ。

 
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けど、反対に、彼女の過去なんかを話して貰えて、私はとても嬉しかった。この人は私を信じてくれている。 今までも好きだった彼女を、もっと好きになった。

なのに私は、自分を全ては見せられない。本当に素敵な友達、知的で美しい人。絶対なくしたくないから。嫌われるのが怖いから。

 

いつかお婆ちゃんになっても、ずっと仲良しでいられますように。そのとき打ち明けよう、この前言えなかったこと。

 

 

 

 

ママ友×タワーマンション=イジメ、みたいな構図について。

 

砂の塔【初回限定盤】

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私はそのとき、尋常ではない緊張感のなか、手縫い針に糸を通していた。

上質な絹の反物に針を入れると「プツっ」という独特の感触がする。針先が布目をとらえるごとに、冷や汗が流れる。

とても滑らかでやわらかな、それでいて、ひと針進むごとにしっかりとした質感を伴う布。

代々ご実家に伝わるという高価なお着物の裾あげを、ママ友に頼まれてしまった。最初はもちろん断った。

なんでも、急遽週末に着物を着なければいけない集まりに出席することになったが、丈が長すぎる。祖母から受け継いだ大切な着物なのでそれをぜひ着たい、でも、阪急百貨店の着物売場で頼むと、早くても来週中頃の仕上がりになるという。他の呉服店もあたってみたが、やはり日程的に無理がある。

ミキちゃん(私)は、何でも器用に作るから、着物も上手に縫えるやんね!?

いきさつは、そんなかんじだった。手土産にアンリシャルパンティエのケーキをホールで持ってきてくれた。お礼はまた後日、別途頂いてしまった。慣れない和裁はあれで良かったのかどうなのか、向こうの本心はよくわからない。

 

そんな私は、ドラマ「砂の塔」を、ツッコミ入れながら見ている。

またですか。また、こういうママヒエラルキーものですか、はいはい、と。

確かにママ友付き合いは、決して楽しいばかりのものではない。

それはそうだけど、ママカーストがあるとして、カースト上位のママが、下位の貧乏人をわざわざ同じコミュニティに引き入れてまでして苛めるような真似は、絶対、しない。

だいたい、なんで主人公菅野美穂は、自分の娘の通う幼稚園と違う幼稚園のママ達と、あんなにずっと一緒につるんでるんだ。バス停違うわよって言われてたやん、普通ならそれで終わるやん。

私自身、高級住宅街といわれる阪神間のとある地域に住んでいて、周りはお金持ちのママが多い。例えばその人の旦那様は外資系金融マンだったり、弁護士さんやコンサル、パイロット等々であるのだが、そういう、所謂デキル男の人が、わざわざ人生の伴侶として、イジメのボスをするような人間性の女を選ぶはずがないのだ。

そういう男性の妻になる女性は、あくまでも私のまわりのサンプルだけの話だが、もれなく美人であると同時に、性格は文句のつけようが無い。そしてもうひとつ加えるなら、実家も良い。つまり天が二物も三物も与えた選ばれしスーパーウーマン達なのである。ただ、学歴に関しては、あまり関係ないかもしれない。中途半端に旧帝大を出てしまって、誰も聞いてもいないのに出身大学の話をしだすママなんかは、その場では誰も嫌な顔はしないが、次第に距離を置かれたりする。

そう、良い大人なんだから、このドラマみたいに露骨にイジメなんかしないのである。

まして、育ちの良いお嬢様で、生まれつきの美人、受験戦争に揉まれ自尊心を傷つけられることもない。

つまりそれまで歩んだ人生で、性格がひねくれてしまう要因がないのだ。

したがって、タワーマンション最上階に住むセレブママが低層階ママを苛めることは、まず、ない。

 

そして、お金持ちの人達は、そういう人達だけの集まりを作る。下手に庶民に近づくと、そのつもりがなくてもイヤミになってしまったり、向こうも向こうでとても気を遣っているのがわかる。

例えば、彼女達はひとつの百貨店で年間300万円以上買い物する人しか持てない外商カードを持っている。大阪のど真ん中のパーキングにいつ駐車しても無料になるカードを持っている。

彼女達の家に行くと、まずバイタミックスという10万円ほどのジューサーで作ったスムージーをウェルカムドリンクとして振る舞ってくれる。林真理子秋元康も同じものを持っているらしい。私が飲んだのは、小松菜のスムージーだった。セレブは小松菜をジューサーで潰したがる。私は、おひたしのほうが圧倒的に好きだ。

彼女達は言葉で自慢などしないけれど、常に高級な物を、しかもいつも違う種類の物を何個も持っており、私が後生大事に使うようなヴィトンは持たず、桁ひとつ違うエルメスを好む。ヴィトンをばかにはしないけれど、あの人達はそれを持たないのだ。そうなるともう、私がOL時代に頑張って自分で買った鞄達のどれもがみすぼらしく情けなく見えてくる。

 ただ、ママ友いじめや、ヒエラルキー間のいじめなどがあるとすれば、それは中層の中だけで小さな差違を見つけて優劣をつけて満足する女性にありがちだなのだとは思うことがある。

私の友人はそういう中階層のややこしい性格のママをエセセレブと呼んでおり、つまり一見セレブを装っているが、実はお金持ちではないということで、ゴヤールバッグのパチモン所有率が非常に高い。一番の特徴は、性格が悪いことと、夫の悪口を言う、夫を見下している、夫に感謝していない、これだと思う。

 

それでまあ、セレブでもエセセレブでもなんでもない私がタワーマンション最上階の人と仲良くなったのは、私が編み物とハンドメイドが得意で、それを教えたりしたのがきっかけであり、あくまで先生と生徒なのでそれほど近くもなく適度にお付き合いをしている。もちろんドラマみたいなイジメはない。

砂の塔のママ友関係は、リアリティが無い、よってイジメにもリアリティがない。

所詮はドラマの話だが、人間関係で魅せるストーリーなら、そこはリアルであってほしい。

例えば、ドラマ「名前の無い女神達(フジテレビ系で多分2011年。調べるのめんどくせ。)」、あのドラマは心理描写がとても良かった。

ばりばり働くママのりょうが、仲良しだったママ友杏をいじめるようになった心理も、とても丁寧で自然なものに描かれており、複雑な女の友情に涙が出た。

また「マザーゲーム(TBS系2015年かな?)」でも、ヒエラルキー最上位の壇れいはイジメを首謀しないのは、筋書きとして良くできていた。その他の設定めちゃくちゃだったけど。

 あとは、タワーマンションでのママ友話といえば、この小説。私の大好きな桐野夏生先生。

 

ハピネス (光文社文庫)

ハピネス (光文社文庫)

 

 なんだけど、桐野せんせ大好きなんだけど、この小説は、あんまり共感できなかった。まず、主人公達の交遊関係の狭さ。ママ友は、めちゃくちゃ広い、そして浅い。あとは、ママ友が不倫していると知ってからの、心理、ここらへんが一番納得できていない。長々と感想を書いたブログの下書きを間違えて消したので、書く気が失せたけれど、多分桐野夏生がもう今は成功者で、小さなコミュニティのママ友界隈での心情の変化なんか忘れてしまったからだと思った。

母親、母性について書かれた小説で一番好きなのは

 

母性 (新潮文庫)

母性 (新潮文庫)

 

ある意味本当に残酷で、読んでいて辛かった。これについては、また別に感想をじっくりと書きたい。母性とは、自然に本能に組み込まれているものなのか?そこをぐりぐり突いてくる。そして、最近になって、私はその答えを自分なりに見つけた。後日ブログに書きたい。

あとは、これ

 

 

マザーズ (新潮文庫)

マザーズ (新潮文庫)

 

 リアルでセレブな小説家ママの、別世界な子育てを随所に垣間見る。しかも、金原ひとみ自身はそこを普通だと思っていそう。終盤、個人的にうちの子にそっくりだと、感情移入して読んでいた女児のまさかの展開に、ショックで号泣してしまいました、私。

 

と、これを書いていたら、チャイムが鳴った。同じマンションのママ友が、今夜のおかず作りすぎたから、と言って、揚げたての大学芋を持ってきてくれたのだった。私ら昭和の団地のオバチャンみたいやねー、今度醤油借りに行くわ、なんて言いながら笑いあった。 

子育ては、辛い、わからない、思い通りにいかない、今まで積み上げた自分の常識を覆され、努力を潰され、世間様に謝り倒し、そんな理不尽の連続。

その同じしんどさを、おそらく夫以上にわかりあえるのが、ママ友達である。普通に考えたら、助け合わないでどうする、って感じなのである。醤油だって、貸し借りすればいい。

ああでも、お着物の裾あげは、もう勘弁だ。

 

 

 

 

 

カッパ


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ゆうくんがな、カッパに会ったことあんねんて。

ほんでな、アスカちゃんも武庫川でカッパ見たことあんねんて。キュウリあげてんて。

あたしは、カッパみたことなーい、って言うてん。

みんなエエなあ、って思ってん。

ママは、カッパ見たことあるん?

 

ああ、この子のこういう性格。

 

こういう場面で、何の迷いも躊躇もなくお友達に「私はカッパを見たことがない」と言える、この子の素直さ、まっすぐで正直なところ、誰に似たのかな。

少なくとも、私ではないな。

私なら、思いっきりホラ吹きまくって、ゆうくんとアスカちゃんを打ち負かすぐらいスケールのデカい、そしてしょうもない嘘をついて、自爆すると思う。

大きな瞳、長いまつげ、白い肌、素直な性格。このまま外見も中身も私の遺伝子ゼロで育ってほしい。そのためには、私はもうどこかへ消えたほうが良いんじゃないかとさえ思ったりする。

私は、カッパをみたことがある。

最近作った鞄の記録

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IKEAのファブリックは、日本で製造販売される生地よりも幅が広い。だからお得。

インテリア向けなので、柄が大きくて面白いが、あまり小物向けではない。あえてこれで鞄を作ってみた。
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反対側


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柄の出方がそれぞれ違う印象になり、作りながらワクワクした。

生地の質感は、けっこうしっかりで、帆布の11号ぐらいあるかも。洋服には不向きだけど、これで敢えてスモックなんか作ったら味のある表情が出そう。丈夫で綿100%、安価な布は子供にぴったり。

あと最近作ったチュールレースのかばん。


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何度やっても画像が横になるので諦めた。


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あと娘のモコモコかばん。私の使わなくなった鞄のベルトを再利用した。顔の部分は、なかなかこれだという目玉がみつからなくて、この“眠そうな”目のパーツをセリアで見つけたときは即買いした。なかなか可愛い顔になった。


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冬の幼稚園お迎え用


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娘とおそろいのメッセンジャーバッグ。また画像が横になる。

 

ちょっとやそっと、手芸が得意でも何の足しにもならん。

 

旦那と娘を何不自由なく養いながら、よそに愛人も囲うことの出来る、そんな収入が得られるならなあ。そんだけの金を、何の特技も学歴もないアホの30代女でも、頑張れば稼げる、そんな夢のある世の中であればなあ。

隣町のスーパーから自転車で帰る道すがら、ずっとろくでもないことを考えていた。わざわざ隣町までいくのは、タイムバーゲンのたまご大安売り目当て。最近食品が何もかも高い。何の収入もない私なんぞ、せいぜいチャリをとばして遠くの安いスーパーで買い物するぐらいしか、愛人どころか夫を支える力もない。そして夫の稼いだお金で布を買い、誰も喜ばない色々なものを作っている。



 

 

walking machineは何処へいく

母方の祖父と祖母が入所する老人ホームに行ってきた。祖父の方は、最近までしっかり独り暮らしをしていたのだが、脳梗塞から歩行に困難をきたすようになり、今年1月からここに暮らしている。
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祖父は、ここでの暮らしを、スケッチブックに記録している。
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おもに、その日に出された食事について。食べることが、ここでの暮らしでいかに楽しみなのかわかる。
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“オヤツをまちわびる90才の男性”
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実際に食べた物の記録以外に、スケッチブックには「その日食べたいもの」が、とても、丁寧に描かれている。
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実際にそこにはないドーナツ。“パンは神戸、bakeryのものがwonderfulである”とも書いてある。食べたいものがいっぱい。でも、食べられない。

施設内の食中毒対策で、外部の人間の持ち込んだ食べ物は、渡せないのだ。
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エビフライ。祖父は料理がとても上手くて、私と夫が子供を連れて遊びにいくときは、必ずエビフライとその他数品を用意してくれた。

なお、祖父は大阪外国語大学、いまの阪大で英語とスペイン語を学んでいたので、日記や文章には、ルー大柴並に英語が混じる。
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やっぱり、こういうとき、思い出すのは、母の味なんだな。
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お母さんの作るおにぎりの絵が、たびたび出てくる。
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昔を思い出したり。同じ部屋の人の似顔絵を描いたり。戦争のこと。あと、中国語。とにかく語学の好きな人なのだ。
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“ お命をひっぱるwalking machine何処へいくのか わからんけど”


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Walking machineと、おじいちゃんと娘。

また来るね。

 

終戦記念日

実家に帰って、祖父母のアルバムを見ている。祖父は4年前亡くなっている。

 
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見慣れぬ四文字熟語の掲げられた神社での集合写真。

暮しの手帖』の花森安治は、戦時中の国策広告コピーライターだったらしいから、この四文字もそうなのかな、とか思ったが、これは元々ある言葉であった。

武運長久

国威宣揚

どちらも、今では使うことのない言葉。

 
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写真を眺めていると、お祖母ちゃんが横に来た。

「あ、その写真。私のお父さんやわ。夜勤やった時に、会社に焼夷弾来てしもてな。責任感の強い人でな、最後まで逃げんと、他の社員逃がして、焼け死んだわ。死体もなんも残らんほど、焼け焦げた。私ら(他の家族)は紀の川へ飛び込んだから、助かったけどな。和歌山も、ようけ人死んだ。」

この人は。

お祖母ちゃんは、悲惨な話をする雰囲気でなく、淡々と、ただ淡々とそんな話をする。

 

あの時代を生きた人の「死」に対する肝の座りかたを、たびたび目の当たりにして、私は、畏れを感じるときがある。

 

戦争っていうのがどういうものだったのかを、今の自分には想像できないぐらい軽々と「死」の話をする祖母から読み取る。

 

空襲で死んだ祖母の父の話より、私が、この時代の人には違う世界が見えてるんだ、と思い知ったのが、昔聞いた祖母の初めての出産の話だった。

 

私の父には、姉がいた。死産だった。産まれて、一声泣いて、すぐに亡くなったという。

 

「産まれたてやのにな、その子、髪の毛の濃い子やってなあ。それが、忘れられへん」

お祖母ちゃんは、この話も、表情ひとつ変えず、普段のトーンでただ独り言を言うように、話していた。

 

私も、子を産んだことがある。妊娠すると、約280日間、小さな細胞だった受精卵がどんどん身体の中で育ち、動き、臨月も近くなれば、もう一人前の人間がそこに宿っていることをずっしりと全身で感じる。

早く会いたい、赤ちゃんに。10ヶ月も待っているのだ。出産自体は、それはそれはとても痛くて、陣痛などは痛みが激しくて気を失いそうになるけれど、それも赤ちゃんを抱いた、泣き声を聞いた瞬間にすべて忘れてしまうぐらい、大きな未来を感じて苦しみはそのとたんにどうでもよくなる。

 

だけど、その子が亡くなったら。長いこと待って、死ぬほど痛い出産を経てやっと会えた子が、しかも数分で、とか、そんな、そんな事、たえられへんやん普通。

髪の毛、長かったんやで、さっきまでお腹の中で生きててんで。一声しか聞かれへんて、そんなん。なんで、この人は、こんなに、今も平気な顔で生きてられるんやろ。

 

それで、私が思った結論が、先程も書いたように、つまり、戦争を経験した世代の人達の死生観って、もう、全然ちゃうなと。

この人達の生きた時代は、もっとこう、「死」が、そこらじゅうにゴロゴロしていたんやな、と。そう思った。

 

戦争でも、大勢の人が目の前で亡くなったと思う。でも、それ以外にも、時代がそもそも杜撰というか。祖父は祖父で、自分の母親を10代の頃に癌で亡くしている。通院はリヤカーの荷台に母親を乗せて、紀の川を渡って遠い隣町の病院まで通っていたが、戦時中の混乱で、あまり良い医療が受けられず亡くなったらしい。

祖父の姉は、前にも書いたようにサーカスを見に行って、空中ブランコの人が上から落ちてきて、脳に障害を負った後に死んでいる。もう一人の祖父の姉は、近所で海水浴をしているときに溺死した。


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とにかく、祖父母の話を聞くと、ばったばった人が死ぬのだ。

 

そして最後は「あの時代やからねえ」と、事も無げに言う。

 

その価値観は、今の私には絶対わからないものだ。 

 

終戦記念日を8月15日とするかどうかは、諸説あり、そもそも降伏文書に調印したのは9月2日であり、諸外国では第二次世界大戦の終戦は9月3日とするとかいろいろあるらしいが、やはり私は日本人だし、8月15日がそういう日だと、小さい頃からずっと認識してきた。祖父母が玉音放送を聞いた、暑い暑いこの8月の15日。

 

ちなみに、祖母とて、死を軽く見ているわけではない。ただ、身近に死というものがあった人達なのだ。

4年前亡くなった祖父の誕生日には、いまもケーキを買う。仏壇に供えたそのケーキを、しばらくして妹が取り下げにいったら「ちょっと、まだ早すぎるわ。まだおじいちゃん全部食べられてないやん、もう少し置いといたげて」

と言われたことがあるという。

今日の盆踊り、たくさんの提灯の中から、「一発でおじいちゃんのやつ見つけたわ!今日あそこに来てたんやな、見つけて欲しかったんやでな、私に!」

と心底誇らしげに言うお祖母ちゃんは、死者を悼み、今も愛しているんだと思った。


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なお、私の祖父は色白で、なかなか男前であった。
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祖母は、笑ってしまうほどゴツい身体で、全然美人ではない。


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そして、うちの家系で美形になるかどうかは、この祖父の血が何割入っているかによるところがかなり大きく、私ら姉妹は祖母の血9割、ゴツくて肌が黒いよ、ということだけ記しておわりにする。