珍獣ヒネモスの枝毛

全部嘘です

イカナゴ狂の国から

○○家に嫁に来て、まず辟易してしまったのが関係者への挨拶回りである。

 
本家の大きな和室。床の間には、叔父が授与された菊の紋の勲章が飾られてある。
 
私は、日本には何かしらエライ人には何かしらの勲章を与えるというシステムがあることを、漠然としか知らないし、菊の紋ときいたらまず肛門を思い浮かべてしまうような人間だが、そんな私でもその勲章がどれだけ凄いのかはなんとなくわかった。
 
その広いお邸で親戚一同に紹介されるぐらいは覚悟のうちであった。
しかし、お義母様の習い事の先生方にまで、菓子折片手に挨拶まわりせにゃならないとは。
 
それにしても、坪単価百万というこの土地に、大きな日本家屋を構え、年に数回親戚が集まるためだけの部屋に20畳も費やす本家は凄いというより大変だなと思った。
そして、親戚への菓子折を、大人用だけでなく小さな子供四人分個別(可愛いキャラクターのもの)用意していたお義母さんの機転にも、恐れ入ったのだった。私にも、このような心配りがこの先要求されるのだろうか。
 
「お花とお茶は、これからミキちゃんが習いたかったら習えばエエのよ。
あとレース手芸教室とポーセラーツは、いま私が通ってるんだけどとっても楽しいから。ミキちゃんにもおすすめするわね。
それからね、ミキちゃんとは歌舞伎も行きたいし、せっかく近くにあるんやから宝塚へ観劇にもいきましょうね。ウフフ」
 
楽しそうなお義母さん。私は、張り付いた笑顔を作るのがしんどくて、口元が痙攣しそうだ。
 
最後に訪問したポーセラーツ講師をしているナツコさんは、個性的なオレンジ色の髪の毛で、いかにも芸術肌というか、曲者といったおばさんだった。
 
お義母さんのお菓子をぞんざいに受け取ると、今度ポーセラーツの発表会があるから今忙しくってごめんなさいね、と言った。
 
ポーセラーツというのは、市販されている様々な模様のシートを陶磁器に貼り焼き、オリジナルの食器などを作るハンドクラフトである。
 
私は、自分で言うのもなんだがわりと手芸が達者で、毛糸でセーターも編めるし、ミシンでコートなんかも作れる。粘土細工なども得意だし、木工にステンシルも図案から考えて施せる。
 
そんな私から見て、ハンドクラフトの中でもポーセラーツはあまり面白さがわからなかった。
云わば、既製品のシートを既製品の陶磁器に貼るだけなのだ。自分で絵を描くわけでもない。
 
そんなポーセラーツに対するあまり良くないイメージが、この日この講師に会ったことでより一層固まったのだった。ポーセラーツの発表会て何だよ。何発表すんだよ?
 
「こちらミキさん。この春からうちの□□とと夙川のマンションに住むことになったの。日用品のお買い物とかで、オススメのお店あるかしら?」お義母さんが、ナツコさんに聞いた。
 
「そうやねえ。うちは、食料品は全部阪急で買うて配達してもろてるわ、やっぱり阪急が一番やね。え?▲▲スーパー?あそこはダーメ。品質がね、ぜーんぜんよ。」
 
何の参考にもならない意見をもらった。
 
阪急百貨店の食料品が美味しくて高品質なことぐらい誰でも知っている。しかし、毎日阪急の食料品売り場で日々の日用品を買うなんて。しかも配達まで。そんなバカげた買い物情報があるだろうか。
 
こちとら尼崎で3年暮らしたのだ。アマではピーコックでも高級スーパー扱いだったというのに。まさかスーパー玉出が夙川にあるとは思わないが、激安のサンディは無いのかサンディは。
 
しかしこのオレンジ髪おばさんの意見は決して金持ちアピールの嫌みだったわけでもなく、夙川の人々の日常であったことを、後に痛感するのだった。
 
この地域に住む人にとっては、日々のおかずを阪急百貨店で買うことは全く贅沢のうちには入らなかったのである。
 
私は、夙川に住みながら、心はいつも故郷の海を思っている。
 
夙川は私の故郷より、ハッキリ言ってずっと素晴らしい所で、少なくとも私の住んでいた田舎は田舎といっても大きな工業地帯のお膝元だったから、空はいつも煤煙で濁っていたし、山や川といった自然なら芦屋の方がずっと豊かなのだった。
 
おまけにこの高級マンションにはコンシェルジュがいて、ゴミ捨てや玄関の掃除もやってくれる。部屋からの眺めは最高だ。
 
娘の通う私立幼稚園のママ友達は皆素敵な人ばかりで、メディアが騒ぐようなママカーストによるイジメなどもない。毎日が平和で、穏やかに過ぎてゆく。
 
あんなに嫌っていたポーセラーツにも通いだした。昔は難波のとらやで激安の布を買って裁縫していたのに、今では芦屋川のチェック&ストライプで娘のワンピース用にリバティの布を買う。朝はブランジェリーアンのクロワッサン。
 
それでも自分は、芦屋の人間ではない、旅行気分でここにこうしている。
そう思うことで、救われているのだ。そう思うことで、ここの人達とうまく距離をとっているのだ。
 
同じ世界の住人だと思うと、とたんに色々なものを比べて、色々なものが欲しくてたまらなくなるから。漫画みたいな、意地悪なお金持ちは一人もいなかった。でも、彼女らの持ち物が、欲しくてたまらなくなる時がある。
 
そして、この場所からは、あまりにも海が遠いのだった。
 
実家のすぐ近くには、海がある。とても綺麗な海が。空は住友金属鉄工所の煤煙で曇っていて、海風は金属を容赦なく錆びさせるけれど、海は本当に美しかった。
 
今住む場所からは、一番近い須磨までも結構距離があるし、あの海岸はちょっとオシャレすぎるというか、人工的だ。故郷の海には、飾らない美しさがあった。
 
今年3月、兵庫県に嫁に来て、9度目の春がきた。

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兵庫県民が最もざわつく季節であると言っても過言ではないだろう、そう、「イカナゴの解禁」。
すなわち兵庫県民が狂ったように大量のイカナゴくぎ煮を贈り合う季節の到来である。
 
こっちに住みだしてびっくりしたのが、くぎ煮をよそへ配る為だけの特別便がヤマトと郵便局でそれぞれ用意されていること。
この時期のみ郵便局では、小分けの弁当箱や冷凍容器もなに食わぬ顔で販売される。郵便局にタッパーですよ奥さん。
もちろんスーパーや百貨店では、イカナゴイカナゴとにかくイカナゴ&関連商品責め。
嫁に来て9年目の春だが、まだ私はこの空気感に馴染めないでいる。
 
最も私が疑問に思う点が、親戚縁者等に、特別便を使ってまで大量に送りつけるという、そのマインドである。
何故、その楽しみを自分の家だけで完結しようと思わないのか。何故、デフォルトのくぎ煮容器はあんなに大きいのか。
 
今年のイカナゴ漁解禁は、2月26日だったそうで。
でも正直私は、イカナゴ漁が一年のうち数ヶ月間禁止されていたことも嫁に来るまでは知らなかったし、「いよいよ解禁っ!」て言われても、オ、オウ…みたいな。そこまでイカナゴを心待ちにはしていない。
 
そもそも、生態系保護の為に乱獲を防ぐ目的でイカナゴ漁を規制し、ある時期に解禁するのであれば、まず、まず真っ先に、バカでかい容器にくぎ煮を入れて送りまくる習慣を無くしたら、生態系は守れるんじゃないか。
 
そして私は、今年もまだイカナゴを好きになれないでいる。多分これからも、ずっと。

豊川悦司 「せやかて工藤! !」

 岩井俊二監督の作品は、劇中に使われている音楽、特にピアノの音が好きだ。普通のピアノの音色に、ストリングスをまぜたような透明な響きが、幻想的な世界を作り出している。

 

 中山美穂主演映画「LOVE LETTER」(1995年)も、そんなピアノのオープニングから始まる。

神戸に住む渡辺博子は、山で遭難した婚約者の藤井樹の三回忌の帰り道、彼の母・安代に誘われ、彼の中学時代の卒業アルバムを見せてもらう。忘れられない彼への思いから、そのアルバムに載っていた、彼が昔住んでいたという小樽の住所へとあてもなく手紙を出す。すると数日後、来るはずのない返事がきた。その手紙の主は、亡くなった婚約者の藤井樹と同姓同名で、彼と同級生だった、女性の藤井樹。やがて博子と樹の奇妙な文通が始まる。

Love Letter (1995年の映画) - Wikipedia

 とまあこんな感じの内容で、ショートカットが可愛い中山美穂の一人二役である。

 特に私の胸キュンポイントを刺激したのが、中学生時代の中山美穂を演じる酒井美紀と、その同姓同名男子役の柏原崇というキャスティングである。

 この95年頃の酒井&柏原コンビといえば、そう、ドラマ白線流しの黄金の二人。あの頃中学生だった私は白線流しに夢中だった。

 ドラマでは酒井美紀長瀬智也に恋をしたが、私の中では柏原君とくっついて欲しかったという思いもあり(オープニングで柏原君がスピッツ空も飛べるはず』の曲とともに眼鏡クイする等、キャラ的にも医者の娘役である酒井美紀の彼氏として最もふさわしかった。まあそれじゃドラマは面白くないわな)白線流し以外で学生服姿のこの二人のカップリングが見られたのはそれだけでも嬉しかったのだ。極論を言えば、もう私にとっては酒井美紀柏原崇カップル以外の役者は、もう誰でも良いとさえ思っている。

 ただし、この映画で一人、役作りというか演出というか、どうしても私の中でしっくりこない役者さんがいる。中山美穂の婚約者を演じる、豊川悦司さんである。



 いや、豊川さん自身には問題がないのかもしれない。もちろん演技は申し分無くうまいし表現力のある魅力的な役者さんである。では何がいけないのか。

 

 それは、彼の喋る関西弁が、もう、ほんまに、けったいなんですわ!!

 

 豊川さんはコテコテの大阪八尾出身。で、大学も関西の慶応と言われる(私が言ってるだけ)関学を出ており(厳密に言えば中退)、もともとの関西弁のイントネーションがおかしいとかそういうことではない。ただ、この映画の中で豊川さんが喋る関西弁、これほんま、どないかしてほしいんですわ!

 具体的に気になる点は、「○○っちゅーこっちゃ」とか「○○やがな」という語尾。あと、全体的なテンションの高さ。少し古い関西人のイメージを、関西人が演じている感じ。

萬田金融なら、それで良いんだ。舞台が浪速区とかの串カツ屋ならそれで良いんだ。沢木の親分が出て来て、エンディングは戎橋で梅子が銀次郎に絡んでるシーンで終わるならば、それで良いんだ。でも、中山美穂の婚約者で、岩井俊二ワールドの登場人物なのだから、この喋りはちょっと。

 だが考えてみると、もともと少し古い映画だし、この頃の関西人はみんなこんなんだったのかもしれない、とも思った。

 特に「テレビに出てくる関西人」というのは、今よりずっとステレオタイプで、もうみんな「せやかて工藤!せやかて工藤!でんがな、まんがな、おまんがなあ〜」って人ばかりがメディアに出ていて、東京からイメージされたその関西人像に、自分から寄せて、“関西人が関西人を演じていた”時代だったのかもしれない。

 今は、ネットのおかげなのか、日本が狭くなったと思う。物質的な往来という意味ではなく、人同士の関わり、という意味で、大阪と東京が近くなった。わりと世の中には色んな関西人が出て来たと思う。

 関ジャニ村上君みたいな、今なお「関西人を演じる関西人」もテレビを賑わしているが、ピースの又吉さんみたいな、静かなトーンで関西弁を喋る人が出て来てくれて、私は嬉しい。まあ、又吉さんも芸人だけど。

 あたりまえのことだが、関西人全員が、おちゃらけていて、みんなオモロいわけじゃない。皆漫才みたいに喋って、ボケたらズッコケたりしてみせてるわけじゃない。トイチの金貸しをやってるわけでもない。私みたいに、暗くて覇気のない、陰気な関西人も大勢いる。普通の関西人が、ポツポツと世間で認知され始めた21世紀は、すばらしい。

 まあ、そういうこっちゃ。ほなさいなら〜。でんがな~。

 

 

 

 

 

サーカスと喉の小骨

  春休みサーカスに行ってきた。うちの親が孫のために張り切って、一番前の席、ど真ん中のチケットを取ったという。

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私は、サーカスには特に興味がなくて、いやどちらかといえばマイナスイメージがあった。

マイナスイメージの要因のひとつになっていたのは、以前動物愛護団体が駅で配っていたチラシである。

そのチラシの主旨は、世に出回る毛皮製品やダウンコートの羽毛が、いかに残酷な手順工程で作られているか、という内容だった。
その他、フォアグラをはじめとする食肉への批判と共に、サーカス等でショーに出される動物の訓練自体も虐待にあたる、という記述がされていた。

そのチラシを見て以来、私は昔買った毛皮の襟巻きを使うことが出来なくなってしまった。なんとなく後ろめたさみたいなものを感じてしまって。

「私が大好きなアニメを見れなくなった理由」まとめ - Togetterまとめ

どっかで目にした誰かの否定的な物言いが、急に思い出されて喉に刺さった魚の小骨みたいに感じることはある。

2016/03/02 12:03

どっかで目にした誰かの否定的な物言いが、急に思い出されて喉に刺さった魚の小骨みたいに感じることはある。 - goldhead のコメント / はてなブックマーク

まさに動物愛護団体のチラシは、私の喉の小骨になったのだ。

せっかく一生懸命ブラック企業で働いて、貧乏OLが思いきって買った毛皮の襟巻き。
そもそも、襟巻きになってる時点でその動物は殺されているので、実際製品を使わないと、ミンクも浮かばれないかもしれないのだが。

ちなみにサーカスが苦手なもうひとつの理由は、祖父の姉の死因だ。

祖父の姉が幼い頃サーカスを見に行ったのだが、その際空中ブランコの役者が演目中に落下。直撃された祖父の姉は、そこで負った脳の障害が原因でてんかんになり、後に幼くして亡くなったという。

いやいやいや。
怖すぎやろ、戦前の日本無茶苦茶やな。

祖父は「あの時代やからなあ」で済ましていた。私はそのエピソードが強烈すぎて、サーカスこええ、昔の日本こええ、と震えるばかりだった。

さらに余談ではあるが、祖父の妹は、和歌山の磯ノ浦で海水浴中に溺れて亡くなった。祖父の母は、戦時中の混乱の中で癌になり、まともに病院にも行けず亡くなった。

「あの時代」を生きた人達にとって、死というものは、今と比べてあまりにも身近だったのだ。

さて、そんな私が、今回サーカスに行くことになってしまった。

動物達に関しては「きっと団員に愛されて訓練されてるんだ、きっとそうだ、ショーが終われば皆うんと愛されてるんだ。サーカスの動物がみんな可哀想だと決まってないはず」などと、自分で自分を何度も納得させた。

そして、平成の、戦後の空中ブランコは、絶対に落ちてこない。これを信じるしかなかった。
で、実際どうだったかというと。


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落ちてこなかった。当たり前である。

でさ、なんていうかさ、サーカスってエロいのです。本当に。


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いや、こんなふうにお尻がぷりっとしてる衣装だから言ってるんじゃなくて。


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例えばこういうさ、ボディラインピチピチのレオタードを着て、男女が身体を密着させてるの。
見つめあって、抱き寄せて。演目の最後にチューするの。

サーカスは、全国各地を旅している。同じメンバーで、ずっと一緒に。

若くて健康な、美男美女がずっと一緒に。テラスハウスどころじゃない。絶対、恋するよ。やってるよ。
そしていつか別れも来るかもしれない。それでも、ショーの間は毎日、身体を寄せあって相手を見つめるという

だいぶエロいと思う。

なんだか凄いものを見せつけられた気持ちになった。

で、肝心のうちの娘の反応だが、とにかく気が小さくて心優しい子なので、ピエロが不当に怒られて会場の笑いを誘うというシーンですっかり気分を沈めてしまった彼女。

人が怒られたり、争うシーンが嫌いなのでプリキュアアンパンマンも見れないこの子にも、サーカスは少々刺激が強かったようである。
そして、あれほど心配していた動物達が、なんとこのサーカスでは一匹もでて来なかったのだった。それはそれで、ガッカリしたような、ほっとしたような。

ああ写真が横だな、まあいいか。

GACKTはソロプレイしたことないらしい。

世間的には、乙武さんの妻が謝罪「させられた」けしからん!ということになっている。

 
あの謝罪文を読んで、乙武さんの妻可哀想、乙武さいてー、ってなる素直な人が世の中には多いみたいで、案外この世は平和でハートフルじゃないかと私は思った。
 
どう見ても、私にはあれは妻の復讐にしか見えない。

はらわたを煮えたぎらせ、真っ赤な顔で書いた文章だと思う。

一時間毎に母乳を欲しがり泣く赤子にパンパンに張った乳を吸わせたり、上の子の学校と幼稚園のプリントで持ち物と行事をチェックし、再び泣く赤子のオムツを替えたりウンチを拭いたりして、その他の家事等をする合間に、旦那にとどめを刺すつもりで真っ赤な顔で書いた文章だと思う。
 
今回の件で、妻は一生旦那の精神的優位に立てるだろう。そして時々泣いてやれば良い。あの時は傷付いた、でも私が悪いのよね、と。
 
本当はこれっぽっちも傷付いてないし、自分が悪いなんて思ってなくても。夫に不倫された妻の涙は、全てを覆す正義になる。独裁スイッチになる。
 
また、あの謝罪文と今回の騒動でキィーっとなってるのは本妻以外の50人の名前の無い女達だろう。
 
乙武さんの不倫とダウンタウン浜ちゃんの不倫の違い - 四条通り週末.com

浮気相手の女の自意識としては「浜ちゃんに選ばれた、アタシ凄い!」ってのと「乙武さんを敢えて選んだ、アタシ凄い!」って違いがあるような気がする。

2016/03/24 21:50

b.hatena.ne.jp

このブックマークコメントにも書いたが、愛人達の多くは、乙武さんの愛人であることに、少なからず自分の価値を見出だしていたのではないだろうか。
 
有名人で、頭がよくてユーモアがあって。
 
そして五体不満足な彼。
 
五体でもなんでも、頭が良いけどどこかが「不満足」な男の愛人になる女は、敢えてその男を選んだ自分に、「人とは違うアタシ」というブランドを強く意識している……と、私は思う。
 
そんな特別なアタシ、って思ってたのにオイこらアタシの他に50人かよ、ってテレビの前でハンカチ噛んでたんじゃないのかにゃ?←江川紹子風に。
 
もしくは、五体不満足で、聖人のような彼が、アタシのほかに浮気なんかするわけない、これは真実の愛!なんて信じて……いや、見下していたんじゃないか。

んで、これも私の勝手な想像だけど、愛人50人ズの女達は、EXILEとか三代目とか、ああいうわかりやすい風貌の男子及びその彼女を小バカにしていたと思う。

愛人達は良くも悪くも「そこそこ」の美人で、そこそこの美人は美人だけどそこそこでしかなくて、一番の美人の前には越えちゃいけないライン……じゃなくて越えられない壁があって。

アタシの選んだ彼は、そこらの男と違う。あんな下半身が脳ミソみたいなヤリチン野郎と違って、知性があって、そしてとても可哀想な人。だから、アタシは、クラスで一番美人じゃなかったけど、一番美人のあの女に勝ったのだ。男を選び放題だった女には顔で負けたけど、この完璧で不完全な男を選んだアタシは、あの女には勝ったのだ……

みたいな、そういう心理あったんじゃないかなってこれ誰の話よ。いや想像やで、知らんけど。知らんけどて、やすよともこのネタな。
 
このゴシップで思い出した。昔GACKTが、俺はオナ ニーしたことない、何故なら、したいときは必ず女とヤるから、みたいなことを吹かしてたこと。GACKTのは絶対嘘だ。でも、今回のは、つまりそういうことなんだろう。
 
とても、切実なことだと思う。女の私にはわからないが、実際尿とか便が溜まったら出さないと苦しいという現象と同列に語れる苦しみなのだと思う。だから、あまり茶化せないし、素直にそれは気の毒だと思った。

毛糸が無いなら、荷造り紐を編めばいいじゃない


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ふだんは毛糸で編み編みしてます。でも毛糸って高いんですよ。なんとかコストダウンできないか。そこで、KOKUYOの荷造り紐ならどうなるかとやってみました。

硬いです、やっぱり硬い。優雅な編み物タイムは、昔話のじいさまが藁草履を編むような、地味にしんどい作業になりました。

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でもまあ、なかなか可愛いのが完成。

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ほんまにワラジ作ったわ。エスパドリーユ風のルームシューズです。

相対的な幸せじゃなくて絶対的な幸せを求めなくては

何百回と歩いたことのある梅田の道で、大きな事故があった。昨日は、普段見もしない報道ステーションに冒頭からチャンネルを合わせる

 
絶対あのニュース一番やから、ほらね
ああ、この道な、ほんまや毎日歩くとこやん◯◯くん。
怖いなあ、ほんま。
こんなん防ぎようないわな。
 
そんな会話をさらっとして、その後は幼稚園の生活発表会に話題は変わった。
 
うちの娘に意地悪をする女の子のパパの髪型がエグザイルみたいで、芦屋には似つかわしくないと思う、という話をした(私が一方体に喋った)。
 
教室に飾られた意地悪な女の子の絵は、とても上手だった。うちの子のは、かなり下手くそだった。
 
うちの子よりも、下手な絵をさがす自分に気づいて、本当に自分自身が嫌になった。
そんなことで何を安心したいのだ。
 
家で一生懸命、下手くそだけど私の絵を描いてくれるときは、心から幸せで、嬉しくて、そんなかけがえのないものをいっぱい私にくれる娘の絵を、少しでも恥じた私の心の醜さ。
 
意地悪な女の子のことも、うちの娘は全然悪く言わなくて、私ひとりモヤモヤして、その子のパパまでムカついて偏見に満ちた目で髪型を茶化したりしてる。
 
自分よりさらに不幸な人の事故のニュースを興味本意で見たがる。わざわざテレビであの事故現場を見て、何を確かめたいのだ?私は。
何を確かめたいのだ。
自分が、幸せだ、ということを、か。
 
どうしてこんな醜女から、こんな可愛い天使みたいな娘が産まれたのだろう。汚してしまうのが恐い。この子から可能性を奪うのが恐い、そう思う金曜の夜。


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ちなみにこの子役ちゃん、娘にすごく似てる。
 

有名人気取りでイイ気になっているバカブロガーに死を……ってテレビで言ってたよ

 ヒガンバナ〜警視庁捜査七課〜というドラマの録画を先ほど見た。

 年末のダウンタウンガキの使い笑ってはいけない探偵で、堀北真希ちゃんが役柄で登場していたあの作品である。

 あの、笑ってはいけない探偵のときにチラっとそのコンセプトとあらすじを見ただけでも「うっわ、おもんなさそ。絶対面白んないわ、これ」と誰もが思ったであろうあのドラマ。 

 その第3話を録画していたので初めて見た。そんなにおもんなさそうなものを、何故わざわざ見るのか。答えは簡単、わたくし暇だから。

 あとはまあ、こういう本気で見る気のないドラマは家事をするときにダラダラ流しておくにはピッタリなので。

 

 そして、掃除をしながら適当に見始めたドラマを、1時間見終わる頃には私は号泣してしまっていた。

 そう、なかなか良かったのである、少なくともこの第3話に関しては。

 しかし、プロットがかなり良いと感心すると同時に、この設定はいらんなあ〜と残念に思う部分もかなりあった。以下に詳しく記したい。

 

 まず、第3話のあらすじ。冒頭、頭から血を流した安藤玉恵がフラフラと街を歩くシーンから始まる。そこから場面は一転し、カリスマブロガー主婦紺野まひるのサイン会会場。そこに響く悲鳴。何者かが、血文字のような脅迫文をサイン本に仕込んでいたのだ。そこにはこう書かれていた。

 

『有名人気取りでイイ気になっているバカ女に死を』

 

 その後、同じ内容の脅迫文が、複数のブログに書き込まれている事が判明。ブロガーは全員セレブ妻達であった、そう、1人を除いては。

 そしてその主婦ブロガーは、何者かに殺害されていた。こうして、カリスマブロガー主婦を狙った殺人事件の捜査が始まる。

 この間、色々なトラップも有り、脅迫文を送りつけた男が逮捕されるのだが、その男は殺人の真犯人ではない。

 最もこの話の肝になるのが、殺された人気セレブ妻ブロガーは、実はワープアの一人暮らし派遣社員の地味な女性だったという事実。

 ブログには、子供との幸せそうな生活を綴り、キャラ弁当などをアップしていた彼女。しかしその生活は全て虚構だったのだ。

  その事実を面白おかしく書くゴシップ記者。その記事が元で、被害者のブログは「嘘乙www」「ボロいアパートに住んでるくせに」など罵詈雑言が並び、炎上することになる。

  で、まあ色々あって、ネタばらしをすると、真犯人は紺野まひるだったわけ。過失だったんだけどね。

 有名カリスマ主婦ブロガーの紺野は、夜遅くまで、毎日テレビの仕事にひっぱりだこで、家でほとんど食事を作っていなかった。息子はお腹をすかせて公園でいつも遊んでいた。そこに、偶然出会って仲良くなる安藤玉恵と息子ちゃん。

 そして、ある時から安藤玉恵紺野まひるの息子ちゃんに、キャラ弁を作って公園に持って行ってあげるようになる(そのキャラ弁をブログにアップしていた)。ママの誕生日までに、自転車を一人で乗れるようになりたいという息子ちゃんと、秘密の自転車特訓をする彼女。そのとき二人とも体に痣や傷を作る事が有るのだが、これがまた架空のDV男がいるのかも、とか子供が虐待されてる?などの色々推理を撹乱させる要素になっていて面白い。 

 あるとき、自分の息子が見知らぬ女のキャラ弁を嬉しそうに公園で食べるのを見つけてしまう紺野。

 で、激高→つきとばす→安藤こける、頭ぶつける、みたいな。でもそこで、すぐに死ななかったのよ彼女。なんとか、流血しながら自力で家路につき(これが冒頭のシーンの真相)、自宅で息絶えた。紺野と、その息子に嫌疑がかからぬように。

   流産を経験し、結婚が破談になり貧しい生活を送る安藤にとって、紺野の息子と公園ですごすひとときは、本当に幸せだったのだ。小さな子供が、母の犯した罪に苦悩しながらも、彼なりに母への愛情を示すシーンも、涙無しでは見れなかった。

 

 ネット上ではキラキラ輝いてみえる、二人のカリスマ主婦ブロガーの、心の闇。

この第3話の筋書きだけでドラマやったほうが、絶対、ぜったい、ぜーったい、面白いと思うんだけど、どうですか??あと湊かなえさんの小説でも読んでみたい題材。

 さらに『有名人気取りでイイ気になっているバカ女(ブロガー)に死を』なんて、ブログやってる人には、すげー心惹かれるフレーズなんじゃないですか?そうでもないですか、そうですか。

 でも、ブログやSNSがほとんどの人たちの日常に身近になった昨今、人気ブロガーが殺され、その犯人も人気ブロガーで、実は華やかなブログの裏に心の闇があって……って、このテーマで殺人事件とか、興味を持つ人かなり多いと思った。

 

 じゃあ、このドラマ何があかんのか。いらんかったのか。

それはね……大変申し上げにくいんだけど、主役の堀北真希ちゃんをはじめとする、レギュラーの方々、ですかね、うん。

 

 上記のように、ブロガー殺人事件とか、設定がすごく面白くて(1話完結なのでこの回だけだが)トラップもあって、見入ってしまう脚本だった。

 

 ただね、謎解きしてる刑事がね。いや真希ちゃん本当に可愛いし、壇れいさんも美しくてほんとうに超お気に入りな女優さん達なんだけどね。

 いかんせん、推理シーンで急になんやCG始まって、なんや主人公が目えつぶってトランス状態入って、みたいなこの特殊能力の設定、こういう既視感ありありの展開……いります?

 ほんで、キメッキメでこう言うんですわ真希ちゃんが。

 

「シンクロしました」

 

 えー、これ要るー?

物語の根幹に関わるの分かってるけど、これ要るー?(^^;

 

 もっと言うと、DAIGOも出てるんだけど、彼も要るー?DAIGO語を封印してクールぶった役柄なんだけど、いまいち封印しきれてないんよ。なんか、今にもウぃッシュ!って言い出しそうな、口の端がムズムズそう言いたそうな。

 

 「おさむちゃんですっ!!」を封印されて発作が出そうになってぷるぷる震えるぼんちおさむ師匠を見てるみたいな、そんな息苦しさを感じて、ダイゴが出てくると急にドラマへの集中力が途切れるのは私だけなのか。

 

「シンクロしました」で、一番良かったのはやはり年末のガキ使で、笑いをこらえてシンクロしながら浜ちゃんに「ゴリラゴリラゴリラ」と言ったあのシーンじゃないだろうか。あれが一番の真希ちゃんのシンクロだったんじゃないだろうか、そう思えてならない。

 でも私、来週も絶対見ると思う。暇だから。