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まともな母親は髪をピンクにしたりしない

髪を長く伸ばすために、必要不可欠な条件、それは良い美容師さんと出会うことである。
良い美容師というのは、髪を守るためにケアばかりをし、傷んだ髪の箇所を排除するだけの人を指すのではない。
よく巷の美容師が口にする台詞として
「傷んでいるところだけ切っておきますねー」
がある。もちろん、枝毛は取り除かないと、そこから乾燥や縮れがどんどん進むのは理解している。
だが、これから髪を伸ばしたいと申告している客に対してこの判断は本当に正しいのだろうか。
髪は、個人差があるが1ヶ月に約1㎝伸びる。美容院に、2~3ヶ月に1回行くとして、そのたびに傷んでいる所を切られていては、ほぼ永久に同じ長さを行ったり来たりすることになるのだ。それは言い過ぎにしても、3ヶ月でやっと1㎝伸びるぐらいのペースにされてしまう。そうなると、なかなか胸下ロングには到達しない。“胸下ロング”は、ロングヘアを目指す者のひとつの指標ではある。
私の出会った美容師稲森さん(神戸市出身、女性、同級生は少年A)は、なかなか男前な判断をしてくれる人であった。
私は、彼女に初めて担当してもらった日、いつものように「髪は今後も伸ばしていきたい。傷んでいるところだけ切ってください」と先手を打ってオーダーした。頼んでもいないのに、どうせ切られるのだ、毛先は。そういうものなのだ、と。
すると稲森さんは「どうせ傷んでいるのだし、中途半端に切らず、やりたいこと全部やって気のすむまで伸ばしてください」と言ったのだった。初めての提案にびっくりした。
そして、私は決めた。気のすむまで伸ばしたら、ベリーショートにしようと。そして
 
胸下まで伸ばした髪を

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毛先だけピンクに染めて
 
それを切る。
 

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切る。

ここからさらに10㎝ほど切ってベリーショートにした。 
それまでパーマ4回、カラーは覚えてないぐらい繰り返して、ピンクを入れる為にハイブリーチも最後にぶちまけたから、溶ける寸前の毛先。恐ろしく短い前髪にしたりもした。80年代が好きすぎてジャネットジャクソンみたいなパーマをオーダーしたら葉加瀬太郎になったりもした。主人のお母さまが絶句していた。こんだけいじくったら、もう本望だわ。
美のためではなく、むしろ憂さ晴らし。そのオーダーはヘアチェンジというより暴力に近い。それに応えてくれた美容師さん。時に客が求めるものは、単なる美しい髪だけではないこともある。そこを汲んでくれた。そして、よう耐えた私の髪、さよなら、さよなら。

なぜだろう、子育てに悩みに悩むたびに、自分の身体、特に毛をむちゃくちゃにしたくなる衝動に何度もかられた。授乳しながら、自分の眉毛が無くなるまでブチブチ抜く時期もあった。子供を育てるのは、思い通りにいかないことだらけで、気が狂いそうになる日もある。
自傷したいのではない。どちらかといえば、人を驚かせることでストレスを発散していた。何故、そんな髪形にしたの!?と会う人皆にギョッとされる瞬間の爽快感。
 
あれからまた月日が経って、私のベリーショートは今ボブまで伸びた。ごく普通の、何も面白くない髪形。稲森さんは、結婚を機に美容師をやめてしまって、多分私ももう髪をピンクにすることもないだろう。
 
ところで兵庫県には、トライやるウィークっていうのがある。
 
 
子供をそだてるのは、これからも、ずっと続く。それはとても幸せで、難しいこと。