珍獣ヒネモスの枝毛

全部嘘です

生理の奴はきたねえからどっか引っ込んでろ、って言われた方が私はラク。

 公園で遊んでいる、その男児のTシャツに書かれた文字を見て「ああ、この子のママは、すごく幸せな人生を歩んでいるのだな」と、確信した。男児のTシャツにデカデカと書かれた文字、それは、PMS

月経前症候群 - Wikipedia

 つまりはそういうことである。PMS。女性なら誰もが毎月味わうと思っていた、あのいやーな感覚。しかし、それとは無縁の人にとっては「P M S」の文字の羅列はTシャツのデザインでしかない。しかも男の子の。

 生理中は、出血の不快感はもちろん、それプラス腹痛と頭痛、眠気などがある。時には歩くこともままならない痛みに襲われることもある。しかし、精神的な、イライラ、もやもやした感じ。あれは、生理前(1週間ぐらい)特有のものである。

 ただ、この憂鬱なPMSのおかげで、逆に救われていることもあると私は思っている。

 たとえば、人間関係にモヤモヤしたり、普段落ち込まないようなことで悩みだしたり、育児や仕事が精神的にきついなあ、というようなことが身の回りに次々と起き始めるとする。で、カレンダーを見る。「あ、なーんだ、生理一週間前突入やん、こりゃしゃーないわ、うん。

 本当の私なら、こんなことで悩んだりしないし、もっとうまくやれるけど、生理前だから仕方ないよねっ」と、自分の苛立や悩み事に免罪符をもらったような気分になるのだ。

  気持ちの浮き沈みに、自分ではどうにもいかない理由をもらえると、逆に救われる。

 そういうわけなので、生理前でもないのに、特に排卵前に嫌な事があってイライラしてしまうときには、非常に損をした気分になる。そもそも、ホルモンの話だけでいうと女性が気分良くいられるのは月にうちで2週間足らずということになるのだから、その短い期間ですら楽しく過ごせないとなると、例えばなんか今日イライラするな、もしかして生理前かも?と思ってカレンダーを見たらまだ全然生理前じゃないとかになると、もうそれは絶望的な気持ちになる。身に降りかかった不幸を生理のせいにできなくなる。

 この、気分の浮き沈みを司るのが卵胞ホルモンである“エストロゲン”と黄体ホルモンである“プロゲステロン”という二つの女性ホルモンである。

 エストロゲンは、血流を良くし、肌を綺麗にする作用などもあり、女性らしい体つきをつくるホルモン。気持ちを安定させるなど、とにかく良い事ずくめなエストロゲン

 対するプロゲステロンは、肌トラブルを起こし、精神的なイライラをもたらすという、嫌なホルモン。もう黄体ホルモンなんかいらない、ずっとエストロゲンだけで生きて行きたい!とか思うのだが、黄体ホルモンとて意味なく存在するわけではなく、妊娠には必要不可欠なやつなのだ。なんか、子宮守ったり膜作ったりすんねんて。説明が雑やな。いやもう黄体のホルモンさんには毎月苦しめられてるからさ。イライラしなくてもニキビが出てきたり、あと何故か、性欲が強くなる。生理直前、卵子はもう子宮に無いのに、なぜそのタイミングで性衝動が高まるのかは不思議でならない。

 昔むかーし、生理中の女が「不浄」「穢れ」の存在であると忌み嫌われていた、そんな時代もあったそうな。月のものが始まると、様々な行動に制限をつけられた。薄暗い納屋に閉じ込められた女性なんかもいたんじゃなかろうか。

 ただ、私、これ言い方は悪いけど、やられてることはそんなに嫌じゃないかなと思ったりして。今みたいに「働く女性が輝く」社会では、生理中で体調の悪い者も、高機能なナプキンと痛み止め薬の服用で、流血していても思う存分輝くことができるわけだが、それはすごく良い事なんだけど、私みたいなへたれからすれば、生理の奴はけがれててくせえから1週間会社来んな外に出んな、どっか引きこもっとけ!っていわれたほうが、ラクっていうか。隔離してもらって、差別してもらって、全然かまわないですよ、しんどいし、みたいな感じです。

 女性と一言で言っても、色んな人間がいる。PMSのあるもの、無い者。生理痛の酷い者、そうでない者。働きたい者、そうでない者。子を産むもの産まないもの。様々な立場がある。そして残念な事に、時にお互いの痛みがわからないが故に、女性同士の立場の違いの中で分断が起こることもある。全ての女が手をとりあい、より生きやすい世の中になりますように。

女子の人間関係

 

 

 

女子の人間関係

 

 

生理の話とは全く関係が無いのだが、昔買ったこの本は面白かった。

私は、「女の友情は儚い」とか「女の敵は女」とかいうしょうもない定説が大嫌いだが、確かに女であるが故に人間関係がややこしくなることが実際あり、その原因と対処法が具体的に書かれていたので引き込まれた。立場や考え方の違う女性が、皆傷つけ合わずに共存するヒントが、この本にはあるとおもう。生理前にクヨクヨした時読むと、救われる想いがする一冊。