君はエクストリーム痴漢を知っているか

この前久しぶりに一人で夕方ラッシュの大阪環状線に乗った時のことである。乗車区間は京橋から大阪駅まで数分足らずの出来事。
混み合う車内で、真後ろに立っていた男性が、混雑しているとはいえ、顔が私の後頭部にやたら近い気配はすると思っていた。しかし、ごく普通の身なり、むしろサラリーマンの中でも清潔感がありお洒落な装いのその男性に対して、私は全く警戒心などを抱くことはなかった。そもそも自分はもう子供を産んでからは何年も痴漢にあっていない。何かをされる対象外であるつもりでいた。イヤホンで音楽に没頭していたのも、今思うと良くなかったかもしれない。
 
電車は、もうすぐ目的地大阪駅に着こうとしていた。
 
ふと、私は何の気なしに、くるりと振り返ったのだった。すると、そのとき初めて気付いたのだが、明らかにその男性は私の髪の毛に鼻をつけて、くんくんにおいを嗅いでいたのだ。 え?と思った時には、電車は大阪駅に到着。大量の人がドドドーっと乗降する1、2番線環状線内外周りホーム。
 
あれ?この人もしかしてオカシイ人なのか?でも痴漢じゃないよな、どこも触られてないし……。などと怪訝に思いながら、去ってゆくその男性の後ろ姿を注視していると、男性は電車から降り際に、出入口横に立っている女性の尻をむんずと掴んだ!そしてそのまま颯爽と降車、さらにエスカレーターを早歩きでのぼりながら、 また別の女性の尻を触って、風のように改札を出ていったのだった。
 
じっと見ていた私だけが確認できた一連の流れ。すれ違いざまの犯行。スピード感。
 
私は、それをエクストリーム痴漢と、名付けたのだった。
 
帰ってからその話を夫にした。
「その痴漢さ、楽しいんかな、それ。もっとじっくり攻めたいやん、普通。」
なるほど。夫の感想もまた一理ある。確かに、エクストリーム痴漢は、流れるような動きを要する。これでは相手の反応を見られないではないか。
 
あとは、私の髪の毛が嗅がれていたことに関しては、まあ勘違いかもしれないし、たとえもし本当に嗅がれていたにしても、正直頭皮が脂臭かっただろう。自分に関してはくさいから嗅がれていたのかもしれない。現に私は尻を触られていない。
 
しかし、京橋から大阪駅の間は、じっくり尻を触っていては、吊し上げられる恐れが犯人側にはある。そのリスクを回避して女性の髪を嗅ぐだけという行為に走ったとも考えられる。
 
すべての手口が『この人痴漢です』を言わせないように計算されていた。
 
被害者は、何をされたかの判断が、そのスピードに追い付けないのである。エクストリームだ。
 
環状線で痴漢されるのは一度や二度ではないが、触られるときは、もっとずっと触り続けられるし、下半身こすりつけタイプも同じぐらいしつこかった。子供を産んでからは、あまり一人で電車に乗っていなかったので、こうした災難からは逃れることが出来ていたのだ。子連れという記号の大きさを痛感する。
 
今まで一番印象に残っているやつは、自分の局部の写真(チェキで撮られていた)を数枚封筒にいれたものを、鞄に勝手に入れられたことである。不幸の手紙系痴漢とでも名付けよう。
 
よく言われることであるし、私も身をもって体験し実感しているのは、髪の毛の色が暗いほど痴漢に遭う率が高い。
 
髪を黒く染めた、まさにその当日痴漢された時は、お前らほんっと、わかりやすいなあ、クソやなあ、と思った。
 
ブスでもスタイルが悪くても何でも、とにかく大人しそうな、抵抗しなさそうなやつだと思われたらそれでおしまいなのである。ちなみに私の美人の友人は、痴漢に1度もあったことはない。容姿のレベルは関係ないのだ。
 
あとは、薄い黒のタイツも駄目だった。脚を中心にやられた。タイツは、濃い、ごついやつを履くべきだと学んだ。その他、おそらく派手で気の強そうなファッション、個性的な服装の女の子は被害に遭いにくい気はする。
 
エクストリーム痴漢を避ける手段としては、きゃりーぱみゅぱみゅを目指してみるのもひとつなのかもしれない。
 
こうした話には、どうして抵抗しないのか、という批判がつきものである。しかし、私という人間は、痴漢の見極めた通りの人間で、つまり、自分の被害をとてもじゃないけど訴えることのできない、意気地無しなのである。
 
先日も、コンビニで並んでる時に、私の前に二人も割り込んできた人がいた。でも、私は何も言えないでいた。
最初に割り込まれたとき、次に誰かまた順番抜かしてきたら文句を言おう、言おう、とか心の中で思っていたのに。ていうか二人も割り込むとか、そんなことある?!って自分でも思う。なめられやすいオーラを全身から発しているんだろう。
 
そういうとき、さらっと、私の方が先に並んでたんですけどって言えない。言えないまま、どんどん卑屈になる私の心。きっと普通に何でも思っていることを言えたら、態度とかも自然に、嫌味なく伝えられるのだろう。それに、相手や周囲の反応を色々気にしすぎなければ、何でも出来てしまうんだと思う。だけど私は、それが出来ない。
 
だからブラック企業の餌食になる。ネットワークビジネスに引きずり込まれそうになる(これはちゃんと逃げたよ)。痴漢の標的にされる。さんざんである。
 
最後にお役に立てるかわからないが、痴漢されないためのポイントを自分の経験をふまえて言っておくと
 
  • 電車は出入口付近に立たない
  • 優先座席付近の袋小路になっている所にも立たない
  • 電車で眠りこけない
  • 出入口付近で座っていると、降り際の男性に写真を撮られ、そのまま去られたケースもあった。その他座っているときでも身体を触られることは多々ある。座席は安心と思わないこと。
  • 30デニール以下の薄いタイツは履かない
  • 大人しそう、気の弱そうな人間だと思われないようにする
  • イヤホンで音楽に没頭しない
 
あともし、この日記を見て、世の中のエクストリーム痴漢を助長する内容でエクストリーム不適切だとか、実際のエクストリーム痴漢被害者が見たら心の傷が深くなるからエクストリーム不謹慎だとか、その他エクストリーム苦情が来たら、この日記はエクストリーム削除する。

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環状線といえばオレンジ。JRといえばこの113系が好き。