職人の朝は早い


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日本人女性の毛穴嫌いは異常だと思う。

もともと差違のない、皆同じような黄色い肌に違いを見つけ、さらにその中で高みを目指すとなると、“キメ”とか“毛穴”とかそういう精密な部分に目を向けるしかなくなるのだろう。

アメリカのように様々な人種が暮らし、白人と黒人ぐらい、肌の造りが違ったら(差別的な意図はない。そのまま黒いか白いかという点において)小さなことは、気にしないのだ。

昔オーストラリアにホームステイしていたときにも思ったのだが、向こうの女性の肌作りは、もっとおおざっぱであった。ステイ先の女性オーナーは、化粧品ブランド『エスティローダー』美容部員の白人女性だった。そんな、いわば美のスペシャリストの彼女でさえ、毛穴はそこまで気にしていなかった。もちろんファンデーションは塗るし、化粧はするけれど、シミそばかすも、そこまで躍起になって消さない様子であった。それでも、彼女は美しかったが。

それに比べ、日本人の毛穴憎悪はどうだ。一ミリの隙も許さない左官職人が如く下地を整え、リキッドを塗り込み、仕上げのパウダーをはたきこむ。CMなどを見ていても、やれ毛穴が開いた、毛穴を消したい、毛穴は親の敵、1億火の玉鬼畜毛穴どうのこうの。小さなシミシワでも大騒ぎしなければいけないような印象を植え付け女性を煽る化粧品メーカー。

見てないよ、あんたの肌なんて誰もそんなに見てないよ。あんたのこと、好きで好きで、一瞬たりとも見逃さないように見つめてくれて、結婚した旦那でさえ、今はほとんど見てくれてないよ。

私達は今日も小さな差違に優劣をつける。もういいだろう、私はこの土俵からいつ降りられる。たるんだ、毛穴だらけの肌をさらけ出して生きられる世界が実現するには、世の美意識が変わる時なのか、それとも私のほうから土俵を降り、世の中の美意識から解放されたときなのか。

そろそろ、化粧品業界も、CM女優の肌をCGで加工してビニールみたいな質感に演出するのではなく、もっと違う視点の美を消費者に提案してみてはどうだろう。歳を感じさせないのではなく、歳相応の美しさでいられることに、喜びを感じられれば幸せだと思うのだ。

……こんなん言うてるけど、もし宝くじが当たったら、ボトックス注射をしてシワを無くしたビニールみたいな肌にするやろな、私は。どないやねん。

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毛穴消し職人の朝は、早い。