珍獣ヒネモスの枝毛

全部嘘です

カッパ


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ゆうくんがな、カッパに会ったことあんねんて。

ほんでな、アスカちゃんも武庫川でカッパ見たことあんねんて。キュウリあげてんて。

あたしは、カッパみたことなーい、って言うてん。

みんなエエなあ、って思ってん。

ママは、カッパ見たことあるん?

 

ああ、この子のこういう性格。

 

こういう場面で、何の迷いも躊躇もなくお友達に「私はカッパを見たことがない」と言える、この子の素直さ、まっすぐで正直なところ、誰に似たのかな。

少なくとも、私ではないな。

私なら、思いっきりホラ吹きまくって、ゆうくんとアスカちゃんを打ち負かすぐらいスケールのデカい、そしてしょうもない嘘をついて、自爆すると思う。

大きな瞳、長いまつげ、白い肌、素直な性格。このまま外見も中身も私の遺伝子ゼロで育ってほしい。そのためには、私はもうどこかへ消えたほうが良いんじゃないかとさえ思ったりする。

私は、カッパをみたことがある。

終戦記念日

実家に帰って、祖父母のアルバムを見ている。祖父は4年前亡くなっている。

 
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見慣れぬ四文字熟語の掲げられた神社での集合写真。

暮しの手帖』の花森安治は、戦時中の国策広告コピーライターだったらしいから、この四文字もそうなのかな、とか思ったが、これは元々ある言葉であった。

武運長久

国威宣揚

どちらも、今では使うことのない言葉。

 
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写真を眺めていると、お祖母ちゃんが横に来た。

「あ、その写真。私のお父さんやわ。夜勤やった時に、会社に焼夷弾来てしもてな。責任感の強い人でな、最後まで逃げんと、他の社員逃がして、焼け死んだわ。死体もなんも残らんほど、焼け焦げた。私ら(他の家族)は紀の川へ飛び込んだから、助かったけどな。和歌山も、ようけ人死んだ。」

この人は。

お祖母ちゃんは、悲惨な話をする雰囲気でなく、淡々と、ただ淡々とそんな話をする。

 

あの時代を生きた人の「死」に対する肝の座りかたを、たびたび目の当たりにして、私は、畏れを感じるときがある。

 

戦争っていうのがどういうものだったのかを、今の自分には想像できないぐらい軽々と「死」の話をする祖母から読み取る。

 

空襲で死んだ祖母の父の話より、私が、この時代の人には違う世界が見えてるんだ、と思い知ったのが、昔聞いた祖母の初めての出産の話だった。

 

私の父には、姉がいた。死産だった。産まれて、一声泣いて、すぐに亡くなったという。

 

「産まれたてやのにな、その子、髪の毛の濃い子やってなあ。それが、忘れられへん」

お祖母ちゃんは、この話も、表情ひとつ変えず、普段のトーンでただ独り言を言うように、話していた。

 

私も、子を産んだことがある。妊娠すると、約280日間、小さな細胞だった受精卵がどんどん身体の中で育ち、動き、臨月も近くなれば、もう一人前の人間がそこに宿っていることをずっしりと全身で感じる。

早く会いたい、赤ちゃんに。10ヶ月も待っているのだ。出産自体は、それはそれはとても痛くて、陣痛などは痛みが激しくて気を失いそうになるけれど、それも赤ちゃんを抱いた、泣き声を聞いた瞬間にすべて忘れてしまうぐらい、大きな未来を感じて苦しみはそのとたんにどうでもよくなる。

 

だけど、その子が亡くなったら。長いこと待って、死ぬほど痛い出産を経てやっと会えた子が、しかも数分で、とか、そんな、そんな事、たえられへんやん普通。

髪の毛、長かったんやで、さっきまでお腹の中で生きててんで。一声しか聞かれへんて、そんなん。なんで、この人は、こんなに、今も平気な顔で生きてられるんやろ。

 

それで、私が思った結論が、先程も書いたように、つまり、戦争を経験した世代の人達の死生観って、もう、全然ちゃうなと。

この人達の生きた時代は、もっとこう、「死」が、そこらじゅうにゴロゴロしていたんやな、と。そう思った。

 

戦争でも、大勢の人が目の前で亡くなったと思う。でも、それ以外にも、時代がそもそも杜撰というか。祖父は祖父で、自分の母親を10代の頃に癌で亡くしている。通院はリヤカーの荷台に母親を乗せて、紀の川を渡って遠い隣町の病院まで通っていたが、戦時中の混乱で、あまり良い医療が受けられず亡くなったらしい。

祖父の姉は、前にも書いたようにサーカスを見に行って、空中ブランコの人が上から落ちてきて、脳に障害を負った後に死んでいる。もう一人の祖父の姉は、近所で海水浴をしているときに溺死した。


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とにかく、祖父母の話を聞くと、ばったばった人が死ぬのだ。

 

そして最後は「あの時代やからねえ」と、事も無げに言う。

 

その価値観は、今の私には絶対わからないものだ。 

 

終戦記念日を8月15日とするかどうかは、諸説あり、そもそも降伏文書に調印したのは9月2日であり、諸外国では第二次世界大戦の終戦は9月3日とするとかいろいろあるらしいが、やはり私は日本人だし、8月15日がそういう日だと、小さい頃からずっと認識してきた。祖父母が玉音放送を聞いた、暑い暑いこの8月の15日。

 

ちなみに、祖母とて、死を軽く見ているわけではない。ただ、身近に死というものがあった人達なのだ。

4年前亡くなった祖父の誕生日には、いまもケーキを買う。仏壇に供えたそのケーキを、しばらくして妹が取り下げにいったら「ちょっと、まだ早すぎるわ。まだおじいちゃん全部食べられてないやん、もう少し置いといたげて」

と言われたことがあるという。

今日の盆踊り、たくさんの提灯の中から、「一発でおじいちゃんのやつ見つけたわ!今日あそこに来てたんやな、見つけて欲しかったんやでな、私に!」

と心底誇らしげに言うお祖母ちゃんは、死者を悼み、今も愛しているんだと思った。


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なお、私の祖父は色白で、なかなか男前であった。
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祖母は、笑ってしまうほどゴツい身体で、全然美人ではない。


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そして、うちの家系で美形になるかどうかは、この祖父の血が何割入っているかによるところがかなり大きく、私ら姉妹は祖母の血9割、ゴツくて肌が黒いよ、ということだけ記しておわりにする。

化粧品を買うときは、よく考えよう



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人を裏切るのには体力がいる。

 
しかし、裏切り続けるのは案外容易なのかもしれない。つまり、はじめの一歩を踏み出してしまうまでの葛藤と、その一歩の重みさえ越えてしまえば、あとはもう、あれよあれよと物事が動き始めるのだ。

ちょうど、エアコンの消費電力と同じだ。スイッチをオンにする瞬間が、一番電気代がかかるので、エアコンはつけたり消したりせず、いったん電源を入れたら一日中運転しておくほうが、節約になるのだとかいうあの理屈。
 
チャンネルNecoで映画「紙の月」を見た。
銀行の契約社員である宮沢りえ(既婚者という設定)が、浮気相手の大学生に貢ぐために、銀行の金に手を出す話。
 
夫を裏切ることも、帳簿の誤魔化しも、初めは震えるほどの葛藤と罪悪感であったことだろう。
 
この主人公の初めの一歩はどこからだろう。スイッチがオンになり、モーターが動き始めたのはいつからだろう。200万円の架空手形をきったあの日か。大学生とホテルに行くために、自宅方向へ向かう電車と反対側のホームに降りたあの日か。
 
いや、始まりは、クリニークの化粧品を買うために、足りなかった一万円、その1枚の万札を客からの預金で賄ってしまったあの日だ。
 
しょうもない男に全て捧げ、人生を破滅させた阿呆で哀れな女だと言ってしまえばそれまでだ。
 
ただ、ろくでもないこの大学生の男子は、初めは本当にただ宮沢りえのことが好きで、純粋に恋をしていたと思えた。そう思いたい。
 
しかしお金は、人の心を幸せにして、不安にして、狂わせてゆく。
 
ラスト、小林聡美宮沢りえの対峙シーンが良かった。小林聡美は、真面目一徹みたいなお局銀行員なわけだが、彼女は、宮沢りえの犯罪を知って、取り乱し責めることはしなかった。そして、宮沢りえに「うらやましい」とさえ言った。破滅した目の前の女。これから逮捕され、地獄の待つ女。だけど、だけど。
 
人の心を壊すほどの大金を盗み、好きな男に身も心も金も全部捧げる、そんな痛快なこと、気持ちの良いこと、私には、想像さえ出来なかった、私の出来ないこと、全部あなたはやったんでしょ、その世界を見たんでしょ。
そんな小林聡美の気持ちは、よくわかる。わかってしまう私は、きっと、罪を犯せない人間だ。そう思いたい。
 
それにしても、クリニークのライン買いで一気に四万の会計とか、それもどうなんよと本筋とずれたとこで引っかかってしまった。
一式買うにしても、@コスメとかのクチコミちゃんと調べたのかしら。クリニークは、グロスとマスカラは殿堂入りしていたけど、パウダーならローラメルシエとか、あとはファンデならリキッドでRMKとか、メイクじゃなくて基礎化粧品だったにしても百貨店で買うなら各メーカーの一番売れ筋でちょこちょこ揃えたら良いのに、まあ外回りの営業の帰りに買い物することは私も毎日やってたし、あんまり紙袋をたくさん持って帰るとサボっていたのバレバレで出来ないけどさ。 
紙の月

紙の月

 
宮沢りえの儚げな美しさに、釘付けになる。私の中の儚げ三大美人は、宮沢りえ木村多江石田ゆり子である。

イミテイションティファニー

もう、もうお腹いっぱいです、うえっぷ。

お姫様抱っこ、マノロブラニクの靴、突然のキス、恋より仕事に生きたい勝ち気な主人公(これが一番、古くさいかも)……時代錯誤すぎるその設定と展開は、あえてのことなのだろう。

娘のおもちゃ箱に並べられた、イミテーションの宝石のように、わかりやすい輝きがちりばめられていて、わざとらしくて、安っぽくて。うん、好きだわこれ。

怖いもの見たさでフォローしているツイッターのキラキラ女子達(慶應幼稚舎組。交友関係は就職してからも全て幼稚舎からの人間関係で固められている)アカウントを、煮詰めて、そのエキスを抽出したものに、バブル期の浅野ゆう子やら吉田栄作なんかをトッピングした感じの、濃いような、だけど薄っすーいような、そんなドラマだった。

「せいせいするほど愛してる」(TBS火曜10時)。そもそもこのタイトルがもう、浅野温子が髪をかきあげて出てくる率高めのワードチョイス。金利が7パーセントぐらいあった頃の日本を思わせる。

舞台はティファニー滝沢秀明演じる副社長と武井咲演じる広報の恋、しかも不倫。

実在する会社を扱ったドラマでこの設定、かなり責めている。主人公のライバルも有名ブランドのジミーチュウ広報。

ベタに主人公のヒールが折れて、応急処置で副社長に買ってもらう靴はマノロ。すべて現実に存在するブランドと商品が登場する。

現実に実在しないのは、部下の靴のヒールが折れたときに、ひょいとお姫様抱っこをして16万円の靴を買う上司のほうだ。

何より私がバブルっぽいというか、昭和のにおいにやられたー、となったのは、キラキラ女子三人が小洒落たマンションに共同生活をしているということである。

三人の職業は、ティファニー広報、大手出版社編集、有名モデル。

このうち一人だけでも十分凄いよ、すごいドラマになるよ、貧困女子が溢れかえるこの時代に、ここまで上りつめるだけでドラマになるのに、そこはあっさりスルー。これが幼稚舎のパワーか※慶應の設定はドラマにはありません。

この肩書きの若くて可愛らしい20代女子が集まってワーキャー言いながら共同生活しているシーンは、現実離れを通り越して、桃源郷のような夢の世界。ディズニーランドかここは、というぐらいの輝かしい空間なのである。

あの三人のシーンを見ていると、どうしても昭和の迷作OL三人旅シリーズを思い出して、日頃チャンネルNECOでそんなんばっかり見ている私はもう、武井咲萬田久子にしか見えなくなってくるのだった。

また、芸人の横澤夏子が会社の先輩役で出ており、彼女お得意のいかにもな、わざとらしいOLを演じているので、ここまでやるとティファニーどうなんだろう、って心配にすらなる。まあでも、なぜか旬をちょっとすぎたGENKINGとかも脇役で出でおり、とりあえず詰め込んだんだなあ、というのがわかる。

主人公と同居する編集の女の子は、新進気鋭の若手売れっ子小説家のイケメンになぜかあっさり惚れられてるし、こいつらの人生、チョロすぎやなあ、ほんま私あと何回生まれ変わったらティファニー広報とか大手出版社で働いてまともな給料もらえるんかなあ、とか、思わない、思わない。

こんな時代だし、これぐらいわかりやすいイミテイションでゴテゴテ飾り付けたドラマも楽しいだろう。

私は、昔から偽物の指輪が好きなのだ。

地方のお土産屋さんなんかの軒先に陳列された、プラスチックの宝石達。あれが、大人になった今も好きなのだ。偽物でも、すぐに壊れても、心惹かれる。私の左手の薬指には、ティファニーの本物のマリッジリングが光っているというのに。

ドラマでは、タッキーがこれと同じ指輪をしていて、そして彼はこの指輪に誓った愛に背いてしまう。企業コラボの物語としては、なんちゅう展開や、と思うし、この点だけはリアルに面白いかもしれない。あとは設定こそチープだが、出てくる宝石と高価な靴達は本物に間違いなく、どれも私には縁遠いその美しさは目の保養になる。

とりあえずお腹いっぱいなのと、色々まぶしかったり、なんか悶絶するので、女友達とボロカスにこきおろしながらビール片手に見るのが120%楽しめるかなと、そんなドラマだった。 


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まともな母親は髪をピンクにしたりしない

髪を長く伸ばすために、必要不可欠な条件、それは良い美容師さんと出会うことである。
良い美容師というのは、髪を守るためにケアばかりをし、傷んだ髪の箇所を排除するだけの人を指すのではない。
よく巷の美容師が口にする台詞として
「傷んでいるところだけ切っておきますねー」
がある。もちろん、枝毛は取り除かないと、そこから乾燥や縮れがどんどん進むのは理解している。
だが、これから髪を伸ばしたいと申告している客に対してこの判断は本当に正しいのだろうか。
髪は、個人差があるが1ヶ月に約1㎝伸びる。美容院に、2~3ヶ月に1回行くとして、そのたびに傷んでいる所を切られていては、ほぼ永久に同じ長さを行ったり来たりすることになるのだ。それは言い過ぎにしても、3ヶ月でやっと1㎝伸びるぐらいのペースにされてしまう。そうなると、なかなか胸下ロングには到達しない。“胸下ロング”は、ロングヘアを目指す者のひとつの指標ではある。
私の出会った美容師稲森さん(神戸市出身、女性、同級生は少年A)は、なかなか男前な判断をしてくれる人であった。
私は、彼女に初めて担当してもらった日、いつものように「髪は今後も伸ばしていきたい。傷んでいるところだけ切ってください」と先手を打ってオーダーした。頼んでもいないのに、どうせ切られるのだ、毛先は。そういうものなのだ、と。
すると稲森さんは「どうせ傷んでいるのだし、中途半端に切らず、やりたいこと全部やって気のすむまで伸ばしてください」と言ったのだった。初めての提案にびっくりした。
そして、私は決めた。気のすむまで伸ばしたら、ベリーショートにしようと。そして
 
胸下まで伸ばした髪を

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毛先だけピンクに染めて
 
それを切る。
 

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切る。

ここからさらに10㎝ほど切ってベリーショートにした。 
それまでパーマ4回、カラーは覚えてないぐらい繰り返して、ピンクを入れる為にハイブリーチも最後にぶちまけたから、溶ける寸前の毛先。恐ろしく短い前髪にしたりもした。80年代が好きすぎてジャネットジャクソンみたいなパーマをオーダーしたら葉加瀬太郎になったりもした。主人のお母さまが絶句していた。こんだけいじくったら、もう本望だわ。
美のためではなく、むしろ憂さ晴らし。そのオーダーはヘアチェンジというより暴力に近い。それに応えてくれた美容師さん。時に客が求めるものは、単なる美しい髪だけではないこともある。そこを汲んでくれた。そして、よう耐えた私の髪、さよなら、さよなら。

なぜだろう、子育てに悩みに悩むたびに、自分の身体、特に毛をむちゃくちゃにしたくなる衝動に何度もかられた。授乳しながら、自分の眉毛が無くなるまでブチブチ抜く時期もあった。子供を育てるのは、思い通りにいかないことだらけで、気が狂いそうになる日もある。
自傷したいのではない。どちらかといえば、人を驚かせることでストレスを発散していた。何故、そんな髪形にしたの!?と会う人皆にギョッとされる瞬間の爽快感。
 
あれからまた月日が経って、私のベリーショートは今ボブまで伸びた。ごく普通の、何も面白くない髪形。稲森さんは、結婚を機に美容師をやめてしまって、多分私ももう髪をピンクにすることもないだろう。
 
ところで兵庫県には、トライやるウィークっていうのがある。
 
 
子供をそだてるのは、これからも、ずっと続く。それはとても幸せで、難しいこと。
 
 

むしばまれたい、あなたの愛に

この痛みに名前があればラクになれる

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信じていたのに。

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こんなに好きだったのに。

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今も、一番好きなのに。

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あたしは裏切られた。

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涙が、とめどなく溢れる。

いたいよ。

痛みに気づかぬふりをして、傷口は広がる

この痛みは何だろう、心のいたみ?

この痛みはたぶん。

多分……。

イテテッ、痛い、ほんまに痛いっ!なんやこれ
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お前かーっ!

いや、いつもみたいにビール片手に晩御飯作りながら柿の種バリボリしていただけなんよ私は。
せやのに、どういうピタゴラ装置でそうなってしまったのか、皆目不明なのだけども、突然眼球に柿の種の欠片が直撃してきたわけ。イッテーわまじで!涙とまらへんわクソが!

私は、この世で一番美味しいお菓子~辛いもの編~は、亀田の柿の種梅しそ味だと思っている。異論は認める。Twitterプロフィール画像も、一時期亀田の柿の種梅しそ味だったぐらい、梅しそ味ラブ。梅しそ味でないとだめ。こんなDVに遭ってもまだこいつを好きでいる。離れられない。

ちなみに私は、一人称を「あたし」と表記する30歳以上の女、および改行のやたら多い人とは仲良くなれない率が高い。

そんなわけで、柿の種に限らず、眼球めがけて色んなもの、特にコバエとか小さな虫が飛び込んでくることが自分は非常に多いのだ。主にチャリを漕いでいる際、虫がダイブしてくる事案が頻発する。
その度に「うあああー目がー、目がー」となる。後ろに乗せられている娘も、もう慣れたもので「ママまた目に虫入った?またムスカか、はいはいバルスバスル(これは言ってない)」とあきれ顔。何だろう、私の目から虫の好むフェロモンまたは悪臭でも放たれているのだろうか。コバエホイホイか。
鏡を見ながら眼球の奥で死んでる虫を取り出す時が大変不快でホラーなのであった。

あと平井堅「哀歌」と「告白」の歌詞ちょっとパクりましたごめんなさい。爛れた、多分これは不倫の歌、蒸し暑い日に聴くと湿度倍増。濃い歌、濃い顔。多分平井堅の目も、虫が飛び込んでくる系やと思う、なんとなく。むしあついひにむしにむしばまれた、そんな夏至のお話。

職人の朝は早い


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日本人女性の毛穴嫌いは異常だと思う。

もともと差違のない、皆同じような黄色い肌に違いを見つけ、さらにその中で高みを目指すとなると、“キメ”とか“毛穴”とかそういう精密な部分に目を向けるしかなくなるのだろう。

アメリカのように様々な人種が暮らし、白人と黒人ぐらい、肌の造りが違ったら(差別的な意図はない。そのまま黒いか白いかという点において)小さなことは、気にしないのだ。

昔オーストラリアにホームステイしていたときにも思ったのだが、向こうの女性の肌作りは、もっとおおざっぱであった。ステイ先の女性オーナーは、化粧品ブランド『エスティローダー』美容部員の白人女性だった。そんな、いわば美のスペシャリストの彼女でさえ、毛穴はそこまで気にしていなかった。もちろんファンデーションは塗るし、化粧はするけれど、シミそばかすも、そこまで躍起になって消さない様子であった。それでも、彼女は美しかったが。

それに比べ、日本人の毛穴憎悪はどうだ。一ミリの隙も許さない左官職人が如く下地を整え、リキッドを塗り込み、仕上げのパウダーをはたきこむ。CMなどを見ていても、やれ毛穴が開いた、毛穴を消したい、毛穴は親の敵、1億火の玉鬼畜毛穴どうのこうの。小さなシミシワでも大騒ぎしなければいけないような印象を植え付け女性を煽る化粧品メーカー。

見てないよ、あんたの肌なんて誰もそんなに見てないよ。あんたのこと、好きで好きで、一瞬たりとも見逃さないように見つめてくれて、結婚した旦那でさえ、今はほとんど見てくれてないよ。

私達は今日も小さな差違に優劣をつける。もういいだろう、私はこの土俵からいつ降りられる。たるんだ、毛穴だらけの肌をさらけ出して生きられる世界が実現するには、世の美意識が変わる時なのか、それとも私のほうから土俵を降り、世の中の美意識から解放されたときなのか。

そろそろ、化粧品業界も、CM女優の肌をCGで加工してビニールみたいな質感に演出するのではなく、もっと違う視点の美を消費者に提案してみてはどうだろう。歳を感じさせないのではなく、歳相応の美しさでいられることに、喜びを感じられれば幸せだと思うのだ。

……こんなん言うてるけど、もし宝くじが当たったら、ボトックス注射をしてシワを無くしたビニールみたいな肌にするやろな、私は。どないやねん。

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毛穴消し職人の朝は、早い。